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【社員インタビュー】モノづくりの真髄は「人」にある。現場を知り尽くしたH部長が語る、進化する工場と次世代への想い

2026.06.16

PEOPLE / 製造部門責任者

どれだけ技術が進歩しても、
最後に現場を動かすのは「人」

H部長

自分で治具を設計して金属を削り出し、
思い描いた通りに完璧に仕上がった時の充実感

2004年の入社から約22年。たった一つの工場から始まった会社の急成長を最前線で支え続け、現在は製造部門全体を牽引するH部長。現場の職人として油まみれになりながら泥臭く技術を磨いた時代を経て、現在はマネジメントの立場で組織全体を見つめる同氏に、これまでの激動の歩みとモノづくりの奥深い面白さ、そして共に働く社員たちへの熱い想いを伺いました。

激動の22年と、工場群が物語る会社の成長

「私が入社した2004年の秋、会社にはまだ第1工場しかありませんでした」

H部長は、当時の風景を懐かしむように語り始めました。現在でこそ複数の拠点を持つまでに成長した同社ですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。会社の事業拡大に伴い、工場は次々と増設されていきます。現在の新工場が建っている場所は、もともと塗料メーカーの工場跡を活用したものです。また、川を挟んで向かい側にあった鉄工所が移転した際には、その跡地を居抜きという形で譲り受け、第3工場として稼働させました。

さらに記憶に新しいのが、2020年2月の第4・第5工場の同時立ち上げです。「まさに新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令される直前という、世の中がかつてない混乱に陥るタイミングでの完成でした。社会情勢の不安と闘いながらの船出でしたが、なんとか軌道に乗せることができました」とH部長は振り返ります。

一方で、マネジメント層としての冷静な視点も忘れていません。「工場が点在していることで、工程間の移動にどうしてもトラックでの運搬の手間とタイムロスが発生してしまっています。物流や生産効率の観点をシビアに見れば、工場同士が平地でひと続きに隣接している方が圧倒的に効率が良い。会社のさらなる成長のためには、こうしたハード面のレイアウト最適化も今後の大きな課題だと捉えています」

現場で培った「引き出し」と、モノづくりに懸ける情熱

現在でこそ部長という重責を担い、現場の第一線から離れて4〜5年が経ちますが、H部長の原点は間違いなく「モノづくりの最前線」にあります。

大学時代に機械工学を専攻し、図面や加工の基礎知識を持っていたH部長は、入社直後にスポーツカー用クラッチ向けの部品の小型旋盤(小ロットの手動機)ラインに配属されました。その後は当時の上司の異動という転機に恵まれ、マシニングセンタでの加工、プレスブローチ機の操作、さらには社内で使用する専用治具をゼロから設計・作成する副資材担当など、工場の心臓部とも言えるあらゆる工程を幅広く経験することになります。その後、第1工場のAT(オートマチック・トランスミッション)ラインへと移り、係長、課長、次長と、現場のリーダーとして着実にキャリアを積み上げていきました。

「モノづくりの一番の醍醐味は何かと聞かれれば、やはり『自分で治具を設計して金属を削り出し、図面通り、いや、自分の思い描いた通りに完璧に仕上がった時の、あの言葉にできないほどの充実感』に尽きますね」と、H部長の顔に職人としての笑顔が浮かびます。

これまでで最も苦労し、かつ達成感を感じた仕事として挙げてくれたのが「カバースリーブ」の量産立ち上げプロジェクトでした。しかし、この時の血の滲むような試行錯誤の経験が、今のH部長を形作っています。「過去にぶつかった壁や、それを乗り越えるためにひねり出したアイデアの数々が、今の自分の中の大切な『引き出し』になっています。現場で起きるトラブルの多くは、この引き出しを開けることで解決の糸口が見えてくるんです」

技術的こだわり:「カバースリーブ」量産立ち上げの試行錯誤

「とにかく形状が複雑で、くびれが非常に多い部品でした。刃物を当てる角度や力加減を少しでも間違えれば不良になります。設備の出力やモーターにかかる負荷のバランスを極限まで調整しながら、同時にタクト(加工時間)をコンマ何秒の世界で短縮し、いかに安定した量産ベースに乗せるか。来る日も来る日も機械と睨めっこし、途方に暮れるような苦労の連続でした」

「見て盗め」の職人時代から、誰もが活躍できる仕組みづくりへ

22年という月日は、現場の文化や働き方にも大きな変化をもたらしました。

「私が入社した頃は、業務時間外に無償で残って、自発的に機械の改善活動や不良対策の試行錯誤を行うことが『職人の美徳』とされるような風土が色濃くありました。先輩に手取り足取り教えてもらうのではなく、自分の頭で考え、技術は見て盗んで覚えるのが当たり前の時代でした。私と同世代、あるいは上の世代の社員には、仕事に対して尋常ではない責任感を持つ、古風で厳しい考え方の職人が多かったです」

H部長自身もそうした環境で育ち、技術を磨いてきた自負があります。しかし、過去のやり方を盲目的に押し付けることはしません。

「時代の流れと共に、人々の働き方や価値観は大きく変わりました。今は『見て盗め』の時代ではありません。新しく入社してくれた方々が、不安を感じることなくスムーズに仕事を覚え、いち早く即戦力として活躍できるように、作業の標準化やマニュアルの整備を徹底して進めています。昔の良き責任感は継承しつつ、教え方や仕組みは現代に合わせて柔軟にアップデートしていくことが、私たちの世代の役目だと思っています」

人生の大半を過ごす場所だからこそ。「人」が輝く未来へ

近年、製造業の現場でもAIの導入や機械の自動化が急速に進んでいます。しかし、H部長は「どれだけ技術が進歩しても、最後に現場を動かし、品質を決めるのは『人』です」と断言します。

「社員は、一日の大半、つまり人生の半分近い時間をこの会社で過ごすことになります。だからこそ、ただ生活のために作業をこなすのではなく、心からの充実感や満足感を持って働ける会社にしていきたいんです。例えば、自分が汗水流して削った小さな部品が、街を走る実際の自動車の心臓部に使われているという誇り。あるいは、自らプログラムを組み、機械を自由自在に動かせるようになった時の成長の喜び。そうした仕事の『本当の面白み』を、一人ひとりに味わってほしいと願っています」

H部長がそう強く願う背景には、若き日の忘れられない原体験があります。

「以前、私が自分で試行錯誤して組んだプログラムで部品を加工した時のことです。それを見た会長が『こんな加工を考えれるようになったんやな』と直接声をかけて褒めてくださったんです。あの時の誇らしさと嬉しさは、今でもはっきりと覚えています。だからこそ、私は社員たちの頑張りや小さな成長を絶対に見逃さず、しっかりと認めて褒める。そんな温かい風土を社内に根付かせたいと強く思っています」

最後に、これから入社を検討している未来の仲間へ向けてメッセージをいただきました。

「『工場での仕事』というと、機械に向かって一人で黙々と作業をする孤独なイメージを持たれるかもしれません。しかし、私たちの現場は違います。ミクロの精度を追求する現場だからこそ、前後の工程を担当する仲間との細かな連携や声掛けが絶対に不可欠なのです。ですから、私たちが求めているのは『コミュニケーション能力』です。分からないことを素直に聞ける、仲間と楽しく言葉を交わしながら、はつらつとやりがいを持って働ける。そんな明るいエネルギーを持った方と、ぜひ一緒にこれからの工場を作っていきたいですね」

【編集後記】

穏やかな語り口の中に、モノづくりへの深い愛情と社員への温かな眼差しを感じるインタビューでした。現場の泥臭い苦労を知り尽くしているからこそ発せられる「人を褒め、認める風土を作りたい」というH部長の言葉には強い説得力があります。AI時代においても、最終的に品質と組織を支えるのは「人の力と繋がり」なのだと改めて気付かされました。