変なプライドが
なかったから、続けられた
Oさん
変なプライドは、なかったんです。
何も分からないところからのスタートでしたから。
お話を伺ったのは、入社12年目を迎えるOさん。鋼材の営業からまったくの未経験で機械加工の世界に入り、現在は第4工場でローターの加工を担当しています。異業種から現場に飛び込んだ12年について、お聞きしました。
鉄を「売る」側から、「削る」側へ
ーー本日はよろしくお願いします。まずは、リバテックに入られるまでの経歴を教えてください。
最初はコイルセンターにいました。鋼板——鉄の板を切って売る会社です。メーカーから、トイレットペーパーみたいに巻かれた状態で鉄が届くんですよ。それを切断して販売する営業を、7年ほどやっていました。
ーー次はどちらへ。
営業先だったお客様の、プレス加工の会社です。そこの専務と仲良くさせてもらっていて、「うちに来い」と声をかけていただいたんです。そこでは製造の管理を4年ほど担当しました。
ーーそこから、なぜもう一度転職を。
もともとおられた方と、どうしても馬が合わなかったんです。職人さんが個性的な会社でしたので。それで、環境を変えようと考えるようになりました。
あえて、知り合いのいない会社を選んだ
ーー次の転職先に、リバテックを選ばれた理由は。
前の転職は、知り合いに声をかけてもらった流れでした。だから今度はむしろ、あまり知り合いのいないところがいいなと思ったんです。
ーーそれで、リバテックへ。
はい。自分で申し込んで、工場見学をさせてもらって、当時の課長と面談をして。そのうえで入社を決めました。
機械を触るのは、これが初めてだった
ーー営業や管理から、いきなり製造現場へ。大きな転身ですね。
自分にとっては大きな転機でした。何が向いているのか、自分でも分からなかったんです。営業のように人と喋る方がいいのか、現場に入って作業する方がいいのか。機械を本格的に触るのは、これが初めてでした。
ーー抵抗はありませんでしたか。
最初はめちゃめちゃありましたよ。高校も機械科を出たわけではないですし、まったく違う世界でしたから。
ーー入社されてからは、どちらに。
まず第1工場で1ヶ月ほど、材料積みなど一通りを覚えました。そのあとは基本的にずっと第3工場です。第4工場のローターに来たのは去年の6月なので、こちらに来て1年ちょっとですね。
一番苦労したのは「測る」こと
ーー最初、何が一番難しかったですか。
測定です。基本のことなんですけど、特に径の大きいものですね。自分では測れているつもりなのに、測れていないんです。
ーーどういうことでしょう。
測定器の点と点がきちんと当たっていなくて、自分が測った値と、みんなの値に差が出てしまう。この感覚をつかむまでが本当に大変でした。公差ギリギリのものが出たりもして、3ヶ月ほどかかりましたね。自分では、長くかかった方だと思っています。
治具ができて、誰でも測れるようになった
その後、簡単に測れる治具をいくつか作ってもらいました。当て方の感覚に頼らなくても、誰でも同じように測れるようになったんです。ああいうものが増えていくと、現場の負担はぐっと減ります。
淡々とやる。それが自分に合っている
ーー第3工場では、どんな仕事をされていたのですか。
一人作業でした。鋳物の加工でしたが、毎日その加工を黙々と進めていました。
ーー今のローター工程と比べて、いかがですか。
やっている感覚は、そこまで変わりません。第1工場に比べたら、こちらの方が自分には合っていると思います。
ーー今のローター工程は忙しいですか。
忙しいです。動きの機敏さが違います。機械が止まっていないか、トラブルが起きていないか、常に気を配っています。
ーー仕事中は、あまり喋られない方ですか。
そうですね。淡々と、生産の仕事をするという感じです。それは第3工場にいた頃からずっと同じです。
仕事は仕事。たまにふざけて、息抜き
ーーやりがいを感じるのは、どんなときですか。
僕はまだ技術がないんです。プログラムを自分で組むのは技能検定でやりましたが、仕事でそこまでやっているわけではありません。今は与えられた仕事を、ミスなく淡々とこなしている段階です。
ですから、やりがいというより——自分が楽しいか、楽しくないか、かなと思っています。重いものを扱うのでしんどいことはしんどいですが、たまに仲間とふざけて、大きな声で笑ったりする。ああいう瞬間ですかね。
ーーメリハリがある、ということでしょうか。
そうです。仕事は仕事できちんと割り切って、やることはやる。そのうえで、たまにふざけて息抜きになる。ずっと仕事中に喋っているのとは、僕はちょっと違うと思っているんです。
助かっているのは、次に何をやるかが見えること
ーー最近、進捗を管理するシステムが入りましたね。
あれは本当に助かっています。次にどこをやればいいかが分かりやすいですし、1日に歩く距離が1〜2キロくらい減りました。
ーー画面の表示はいかがですか。
カウントダウンだけでなく、実際の時刻も小さく出るんです。「今が何時だから、あと何分ある」と逆算できる。頭で計算しなくても、見れば分かる。ちょっとしたことですけど、本当に助かっています。
変なプライドがなかったから、続けられた
ーー未経験からのスタートで、苦労も多かったのでは。
苦労はしました。数字の見方も言葉も、全然分からなかったです。工具の名前を言われても分からないし、測定器も種類が多くて使い方が分からない。不良も出しましたし、いろいろやらかしました。
ーーたとえば、どんな失敗が。
工程を飛ばしてしまったこともありますし、材料の上下を間違えて積んだことも結構ありました。
ーーそれでも、12年続いています。
変なプライドは、なかったんです。何も分からなかったですから。
もし変に技術を持っていたら、会社もそれなりに期待して採るわけで、そのぶんプレッシャーがあったと思うんです。僕にはそれがなかったので、かえって良かったのかなと思っています。
ーー教える側から見ても、素直な方がやりやすい気がします。
それはあると思います。変にプライドを持っていたり技術があったりすると、「いや、違います」となる可能性もありますから。
次は、大きいものにも挑戦してみたい
ーー今後、やってみたいことはありますか。
正直、自分自身の自信もスキルも、まだまだこれからです。もっと上げていかないと、と思っています。
そのうえで、以前に話に出ていた建設機械向けのような、大きくて重い部品にも、機会があれば挑戦してみたいですね。第3工場でも大きいものを扱っていたので、もう一度やってみたいなと思います。
向いているのは、素直に聞ける人
ーー最後に、どんな方がリバテックに向いていると思われますか。
まずは手先が器用な人ですね。僕自身は器用な方ではないので、器用だったらいいのになと思いながらやっています。
あとは、体を動かしてきた人でしょうか。僕も一応、体育会系で、高校まで陸上の200mをやっていました。
ーー技術の経験は必要でしょうか。
僕はもともと技術も何もない、ゼロからのスタートでした。だから、そういう人でも十分にいけるんじゃないかなと思います。逆に、変な癖がないぶん良いのかもしれません。
【編集後記】
営業から製造へ、しかも機械に触れるのは初めて——12年前の大きな転身を、Oさんは淡々と振り返ります。
印象に残ったのは、苦労した話をどれも隠さなかったことでした。測定の感覚をつかむのに3ヶ月かかったこと、工程を飛ばしたこと、材料を逆に積んだこと。それを「変なプライドがなかったから」の一言で説明されたとき、未経験で入る人にとって一番の武器が何なのか、はっきりした気がしました。
教える側の視点にまで話が及んだのも印象的でした。技術ゼロから始めた人だからこそ、これから入ってくる人に必要なものが、誰よりも見えているのだと思います。