「強み」はこれから作っていく。
限界を見極める技術者の挑戦
Sさん
「私は『これからその強みを作っていく』
ためにこの会社に入りました。」
製造技術部の中で随一の技術力を持ちながら、決して現状に満足することなく常に上を目指し続けるSさん。入社から1年4ヶ月、新部署の立ち上げからフル稼働に至るまでの軌跡と、彼が思い描く「これからのリバテックグループ」の姿についてお話を伺いました。
アナログ人間と最先端技術
取材の冒頭、最近の音声入力ツールの話題になると「自分はアナログ人間なんで」と笑いながらも、その精度の高さに驚かれていたSさん。和やかな雰囲気でインタビューはスタートしました。
しかし、ひとたびモノづくりの話題になると、その眼差しは技術者としての鋭い光を帯び始めます。
提案型のモノづくりへ。「言われた通り」で終わらせない
前職では、半導体製造装置のパーツ製造に携わり、マネージャーとして現場を牽引していたSさん。当時から大切にしていたのは「顧客の期待を超える提案」でした。単に図面通りに作るだけでは、結局は価格競争に巻き込まれてしまいます。だからこそ、コア技術を活かして部品の機能をより高める形状をこちらから提案し、競合より高い価値を提供するスタイルに強みを感じていたと言います。
この姿勢は、リバテックグループに入社した現在も変わっていません。顧客から図面を受け取って加工するだけでなく、製品の構造から逆算し「こんなふうに作ってはどうか」と提案できるチームを作りたいと語ります。そのためには、CADを駆使して製品設計のスキルがある人材などチームとしてのリソース拡充も今後の視野に入れています。
6時間から3時間へ。限界まで詰めた加工時間と「マラソン」の哲学
現在、Sさんが主に担当しているのは、マシニングと旋盤加工が可能なハイブリッド機「MU6300 V」および「MU6300 V-L」を用いた量産品の加工です。立ち上げ当初は1個あたり約6時間かかっていた加工時間を、回転数や送り速度などの条件を極限までチューニングすることで、1個3時間(1日約7個生産)という劇的な短縮に成功し、お客様の希望の価格と納期を実現することができました。
品質を安定させる「マラソン」の哲学
しかし、Sさんはただ速さを求めているわけではありません。これ以上時間を詰めれば、刃物の摩耗や折れによる寸法不良のリスクが高まります。量産において最も重要なのは、工具の交換頻度を抑え、同じ品質のものを安定して作り続けること。「無理な時間短縮はせず、体制を整えて必要な生産数を確保する」という言葉には、現場を知り尽くした技術者ならではの冷静でストイックな判断が光ります。
オープンファクトリーという新たな可能性
前職では独自の接合技術という秘匿性の高いコア技術を持っていたため、徹底した機密管理を行っていました。一方で、現在のリバテックグループの状況を客観的に分析し、新たなアプローチも模索しています。
「自動車業界向けの部品製造などで培ったノウハウは、他社が簡単に真似して参入できるものではありません。だからこそ、逆にオープンファクトリーのように工場を積極的に見せていく方向性も、リバテックグループの強みをアピールする上で良いのではないかと考えています」
強みは「ない」。だからこそ、これから作り上げていく
他社と比較したリバテックグループの現状の強みについて尋ねると、Sさんからは「現状は明確な強みはない」という厳しい答えが返ってきました。しかし、その言葉の裏には、力強い決意が込められています。
「私は『これからその強みを作っていく』ためにこの会社に入りました。自動車部品の量産で培った『安く、早く、安定して作る』ノウハウと、半導体業界の厳しい品質基準が掛け合わされば、今後大きな武器になります」
入社当初は新部署が立ち上がったばかりで、装置はあるものの稼働していない状態でした。それが今や設備はフル稼働し、しっかりと売上を立てています。「主力事業がある中で、半導体という異分野へ挑戦し、投資を実行する会社の姿勢は素晴らしい。これからの伸びしろに大いに期待しています」と語るSさん。
【編集後記】
自らに厳しく、現場の限界を見極めながらも、常に一歩先の未来を見据える。彼の挑戦が、リバテックの新たな「強み」を形作っていくことは間違いありません。